3DCG手法の単語整理

アンチエイリアシング

英語では"anti-aliasing"。エイリアシング(aliasing)に対抗する(anti-)のでこう呼ばれる。
"alias"とは「別名」「偽名」という意味の名詞である*1が、
これが無線通信分野において、音声データをサンプリングした際に発生する
ノイズのことを指す用語として使われるようになった。
(つまり、サンプリング後のデータから取り出したい目的の音声データ以外の
「偽データ」ということ。)

これが画像分野にも応用され、「サンプリング(デジタル化)が起因のノイズが発生すること」を
広く「エイリアシング」と呼ばれるようになった。
ビットマップ画像データ等に見られる、線がギザギザになる現象は、
エイリアシングの一種である「ジャギー(jaggy)*2」であるが、
このジャギーを抑制する処理のことを、一般に「アンチエイリアシング」と呼んでいる。

モーフィング

英語では"morphing"となる。日本語版Wikipediaによれば、

変身・変化を意味する単語「メタモルフォルシス(metamorphosis)」の中間部分から命名されたという説と、
move(移動)+morphology(形態) の合成語であるとする説がある。

とあるが、英語版Wikipediaにはそのような表記はない。
研究社『英語語源辞典』によれば、

morph n. ⦅1947 Hockett⦆形態; 異形態. ◆(逆成)←MORPHEME: cf. ALLOMORPH.

とあるので、名詞としては1947年の時点で存在していたことになる。

シェーディング

影を意味する"shade"を動詞化した「陰を作る」という意味。Wikipediaが分かりやすい。

テクスチャマッピング

テクスチャとは元々「織物の質感・手触り(texture)」のこと*3
Wikipediaによれば、テクスチャマッピングは、
元々、沢山のポリゴンから作られている3Dモデルに対して、見た目の質感を変えずに
ポリゴン数を削減するために発明された技法である。
これが次第に、質感を演出するために、モデル表面に画像を貼り付ける(mapping)することへと
意味が転化した。

ポリゴン

英語の"polygon"は「多角形」のこと*4。3DCG分野では、
立体を多角形の組み合わせでモデリングする技法、及びその多角形自体を指す。

メタボール

日本の3DCG研究の第一人者である大阪大学の大村皓一らが、この技術を「メタボール」と
呼んだことが始まり。技術自体の発明者はジム・ブリンであると言われている。
メタ(meta-)は「超」に相当する接頭辞なので、「メタボール」とは字面的には
「超ボール」ということである。

クリッピング

"clip"は「切り取る」という意味。
なお、日常生活で書類を留めるのに使っている「クリップ」も綴りは"clip"であるが、
先ほどの"clip"とは同綴異義語の関係である。

ライティング

光を点ける、光を当てるという意味の"lighting"から。

ラジオシティ

勿論"×radio city"ではない。英語で綴ると"radiosity"である。
「輻射」を意味する接頭語"radi(o)-"と、「発光する」を意味する"luminosity"の造語であると
思われる。

レイトレーシング

単語の切れ目は「レイ・トレーシング」であり、"ray tracing"である。
光線(ray)を追跡する(tracing)ということ。

レンダリング

"render"には「提出する」「表現する」という意味があり、それが転化したもの。

*1:余談であるが、Windowsで「ショートカット」と呼ばれるものは、Macでは「エイリアス」と呼ばれる。

*2:英語で「とげとげ、ギザギザ」の意。

*3:織物は"textile"

*4:五角形は"pentagon"、六角形は"hexagon"。