繰り返しのある一元配置実験結果の単回帰分析方法(その1:2つの方法で導出される回帰直線式)
繰り返しのある一元配置実験を行うとする。
水準が、、…、の合計個あり、
それぞれについて回繰り返し評価を行った結果、
、、…、、、…、
の、合計個の結果を得たとする。
また、各水準の結果の平均を計算する。
表にまとめると以下のようになる。
1回目 | 2回目 | … | n回目 | 平均 | |
… | |||||
… | |||||
… |
今、を説明変数、を目的変数とする単回帰分析を行いたい。
モデル式をとし、は互いに独立にに従うこととする。
このとき、単回帰分析の方法として、
- とをペアとする個のデータを用いる方法
- とをペアとする個のデータを用いる方法
の2種類の方法が考えられる。
この2種類の方法にはどのような違いがあるのかを確認する。
なお、本記事は、永田靖『入門 統計解析法』を大いに参考にしています。
母回帰係数の推定値
母回帰係数の推定値について考える。
は、との偏差積和と、の偏差平方和を用いて、
で求めることができる。
とをペアとする個のデータを用いる方法の場合
、とすると、
となる。
の各項について、さらに式変形をすると、
となるので、
となる。
また、についてもさらに式変形をすることで、
となる。
とをペアとする個のデータを用いる方法の場合
先述の、と区別するため、それぞれにダッシュ(プライム)を付けて、、とする。
それぞれを、さらに式変形することで、
となる。
以上の計算から、
の関係があることがわかる。
したがって、どちらの場合であっても、の値は同一にあることがわかる。
母切片の推定値
母切片の推定値は、
から算出される。
したがって、どちらの方法であってもの値が同一である以上、
についても、どちらの方法であっても値は同一となる。
結論
母回帰係数、母切片ともに、どちらの方法で求めても同じ値が得られるということは、
これらの期待値]、]や分散]、]についても、
どちらの方法であっても同一である。
したがって、
- とをペアとする個のデータを用いる方法
- とをペアとする個のデータを用いる方法
のどちらの方法であっても、得られる回帰直線式は同じである。