繰り返しのある一元配置実験結果の単回帰分析方法(その2:2つの方法で導出される寄与率)
前回の記事では、繰り返しのある一元配置実験の結果に対して単回帰分析を行う際、データ処理の方法として2つの方法を紹介した。
いずれの方法であっても、得られる回帰直線式は同じであることを示した。
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分散分析や寄与率(決定係数)は?
単回帰分析をする際には、回帰式の有意性を判断するために、分散分析結果や寄与率を確認する。
回帰直線式が同一であっても、分散分析結果や寄与率に差があると、実用上は解析結果の意味が変わってしまうことになる。
分散分析表は、以下のようにまとめる。
要因 | 平方和 | 自由度 | 平均平方 | |
計 |
ここで算出されたを、(は危険率)と比較して、帰無仮説を棄却するかどうかを決める。
また、寄与率は次の式から算出する。
以下、2つの方法で分散分析結果や寄与率に差があるか確認する。
結論から言えば、2つの方法で、総平方和に差がある。
また、自由度も異なるため、
とをペアとする個のデータを用いる方法の場合
総平方和は、
となる。これは、さらに式変形することで、
となる。
また、回帰による平方和は、
であり、残差平方和は
で求めることができる。
これらの平方和の自由度は、それぞれ
である。
とをペアとする個のデータを用いる方法の場合
前節の各統計量と区別するため、それぞれにダッシュ(プライム)を付けて表記する。
総平方和は、
となる。これは、さらに式変形することで、
となる。
また、回帰による平方和は、
であり、残差平方和は
で求めることができる。
これらの平方和の自由度は、それぞれ
である。
ここまでの結果を表にまとめて比較する。
統計量 | 方法1 | 方法2 |
総平方和 | ||
回帰による平方和 | ||
残差平方和 |
ここで、以下の不等式が成り立つことを利用する。
個の実数、、…、があるとき、
が成り立つ。
証明は、以下の記事を参照のこと。
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この不等式を用いると、
が成り立つことがわかる。
これを用いると、
となり、
が証明できる。
前回の記事で示した
を用いると、
となる。寄与率は、
となり、
であることがわかる。