ER図の記法3選
ER図(実体関連図:Entity-relationship Diagram)は、主にデータベースを扱う際に、データモデルを表現するのに使用します。
ER図の記法はいくつかあるのですが、ここでは、メジャーな3つを紹介します。
後で述べますが、同じER図を描くのに、それぞれの分野で別々の記法を使用しているため、実はこの2つの記法は同じことを示していた(描き方が違うだけ)ということに気付かないことがあります(私がそうでした)。
バックマン線図
1969年にバックマン(C. W. Bachman)が発表した記法*1。
線・矢印を使ったシンプルな記法であり、情報処理技術者試験(応用情報技術者試験等)ではこの記法が使われています。
シンプルであることは欠点でもあり、他の2つの比較して、ぱっと見た時の意味が分からないのが、バックマン線図の欠点です。原著では下図に対して、
The direction of the arrow is read to mean that each employee is a member of a set of employees that belong to a particular department, and further, that each department has such a set of employees.
とあるだけで、ここに矢印を導入した理由や妥当性には触れていません。
基本的には「そういうものだ」と覚えるしかないのです。
Crow's Foot (カラスの足)記法
1980年代に、コンサルティングファームCACIにてバーカー(R. Barker)が考案した記法(バーカーはのちにオラクルに入社し、RDBMSソフトを開発)。
見た目が分かりやすいので、ER図の実践的教育の場面で良く使用されますが、表現できる内容が少ないので、複雑な関係性を表記する際には、この記法はあまり使われません。
クラス図(UML)
UML(統一モデリング言語:Unified Modeling Language)は、オブジェクト指向分析・設計の際に使用される記法群です。UMLの中に色々な記法が含まれており、クラス図はその中のひとつです。
多重度が数字で表記されるのでわかりやすく、また、それ以外の様々な情報を表現することができます。しかし、ER図としては機能が過剰であるので、ER図として用いられることはあまりありません。
図の転載元
*1:Data structure diagrams:http://citeseerx.ist.psu.edu/viewdoc/summary?doi=10.1.1.172.3370